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ヘリウムが週間で急騰した裏でネットワークの実需がインフラの形を変える

Helium(HNT)が週間73%急騰──DePINセクターの追い風と、冷静に見るべき5つのリスク指標

ご注意:暗号資産は価格変動が極めて大きい資産です。本記事は情報提供を目的としており、投資助言ではありません。投資判断は必ずご自身の責任で行ってください。

導入

Helium(HNT)が24時間で21.8%上昇し、1.41ドル(約211円相当、1ドル=約150円換算)に到達した。週間では73%の値上がり。取引高は2,187万ドル(約32.8億円相当)に膨らんでいる。数字だけ見れば勢いは本物だが、ネットワーク利用量の伸びは年8%にとどまる。価格と実需のギャップが、この先の方向性を占う最大の焦点になる。

本記事では、Blockchain Magazineの報道(2026年2月16日付、執筆者:Ananya Melhotra氏)を中心に、HNTの価格データ、DePIN(分散型物理インフラネットワーク)セクターの動向、そしてリスク要因を整理する。

背景と課題

Heliumは、トークン報酬によってユーザーが無線通信のホットスポットを設置・運用する分散型ネットワークだ。簡単にいえば「みんなで作る通信インフラ」であり、携帯キャリアのような中央管理者が不要になる仕組みを目指している。

2026年2月時点で、世界のホットスポット数は98万7,000台(Blockchain Magazine報道)に達した。ただし、前年比の成長率は12%であり、2024年に記録した34%成長からは大きく鈍化している。ホットスポットの数は増えているが、その勢いは明確に落ちている。

さらに重要なのは、データ転送量(ネットワークが実際に使われている度合い)の伸びが年間わずか8%にとどまっている点だ。価格は週間73%上がっているのに、実際のネットワーク利用は8%しか伸びていない。この乖離は、現在の上昇が将来の採用拡大を先取りした投機的なポジション構築である可能性を示唆する。

DePINセクター全体では、2026年2月に17のカテゴリートークンが追跡対象となり、セクター全体の時価総額は82億ドル(約1兆2,300億円相当)に到達した(Blockchain Magazine報道)。Heliumの時価総額2億6,300万ドルはセクター全体の3.2%に相当するが、2025年第3四半期の5.1%から低下しており、新興プロジェクトとの競争が激しくなっている。ここが分かれ目。

技術の核心

Heliumは2023年4月にSolanaブロックチェーンへの移行を完了した。この移行により、トランザクションの確定速度が向上し、ホットスポット運用者の運営コストも削減された。Solana上で稼働することで、高速かつ低コストのインフラ基盤を活用できるようになった。

トケノミクス(トークンの経済設計)を確認する。HNTの最大供給量は2億2,300万枚で、そのうち1億8,632万枚(83.5%)がすでに流通している(Blockchain Magazine報道)。残りの3,668万枚(16.5%)は今後マイニング報酬やバリデーター報酬として分配される予定だ。

現在の発行スケジュールでは、1日あたり約85,000 HNTが新規発行されている。1.41ドルの価格では、日次の売り圧力は約11万9,850ドル(約1,800万円相当)に相当する。一方、24時間の取引高2,187万ドルはこの日次発行量の約182倍であり、新規発行による売り圧力を十分に吸収できる水準にある。


図解:Helium(HNT)の供給構造と市場データの概要

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トークン分配の集中リスクも指摘されている。オンチェーンデータによれば、上位100アドレスが流通供給量の約42%を保有しており、この比率は2025年第4四半期から変化していない(Blockchain Magazine報道)。大口保有者がポジションを縮小すれば、価格に大きな影響が及ぶ可能性がある。ただし、過去72時間にはクジラ(大口保有者)の顕著な取引活動は観測されていないとのことだ。Solanaへの移行は技術的優位性をもたらしたが、トークン集中という構造的な課題は残ったままである。

応用と市場への影響

HNTの市場データを以下の表に整理した。

項目 数値
現在価格 1.41ドル(約211円)
24時間変動率 +21.8%
7日間変動率 +73%
30日間変動率 +2.55%
時価総額(順位) 2億6,300万ドル(約394億円)/第151位
24時間取引高 2,187万ドル(約32.8億円)
取引高/時価総額比率 8.3%
流通供給量/最大供給量 1億8,632万枚/2億2,300万枚(83.5%)
完全希薄化後時価総額(FDV) 3億1,490万ドル(約472億円)
史上最高値(ATH) 54.88ドル(2021年11月)/現在価格から97.4%下落
史上最安値(ATL) 0.113ドル(2020年4月)/現在価格はATLから1,134%上昇
稼働チェーン Solana(2023年4月移行)
当日値幅 1.14〜1.42ドル(レンジ24.5%)

(すべて2026年2月16日時点、Blockchain Magazine報道に基づく。1ドル=約150円換算)

取引高対時価総額比率8.3%は、一般的に持続的な上昇トレンドの目安とされる5%を上回っている。Blockchain Magazineの分析によれば、2025年第4四半期にも同様の比率が確認された際には、3〜4週間の保ち合いが続き、大きな反落は起きなかったという。

当日の値動きにも注目すべき特徴がある。1.14〜1.42ドルの値幅の中で、安値が時間とともに切り上がる「高値安値の切り上げ」パターンが観測された。主要取引所でのビッド・アスクスプレッド(売値と買値の差)は0.3〜0.5%に縮小しており、2026年1月の1〜2%から大幅に改善している(Blockchain Magazine報道)。このスプレッド縮小は、機関投資家の参入や組織的なマーケットメイキングを示唆する兆候とされる。

正直なところ、HNTのFDVプレミアム(完全希薄化後の評価額と現在時価総額の差)が19.7%にとどまっている点は、多くのアルトコインが50〜200%のプレミアムを抱えることを考えれば比較的穏当だ。とはいえ、今後16〜18か月にわたって新規発行による売り圧力が続くことは忘れてはならない。

よくある誤解ミニコーナー

誤解1:「73%上がったから、ATHに向けて回復が始まった」
現在の1.41ドルは、2021年11月のATH(54.88ドル)からまだ97.4%も下落した水準にある。週間73%の上昇は印象的だが、バブル崩壊後の回復フェーズにおける一時的な反発の範囲内かもしれない。2022〜2023年のアルトコインサイクルでは、持続的な上昇トレンドの確立に18〜24か月を要したケースが多い。

誤解2:「ホットスポットが98万7,000台もあるから、ネットワークは順調」
台数の絶対値は大きいが、成長率は34%(2024年)から12%(2026年2月時点)へ鈍化している。さらに、実際のデータ転送量の伸びは年間8%に過ぎず、設置台数ほどにはネットワークが活用されていない可能性がある。

誤解3:「DePINセクター全体が好調だから、HNTも安全」
DePINセクターの2026年のパフォーマンスは一貫していない。Blockchain Magazineの報道によれば、複数の競合プロトコルが2026年1月に急騰後に反落するパターンを経験している。Heliumの値動きはDePINセクター全体のセンチメントに連動しやすく、セクター固有のリスクが暗号資産市場全体のリスクに上乗せされる構造にある。

レベル別アクション

初心者向け(まず理解する)

  • DePINとは「分散型物理インフラネットワーク」の略で、通信やストレージなどの物理インフラをトークン報酬で分散運営する仕組み
  • Heliumのホットスポットは「自宅に置く小型の通信基地局」のようなもの。設置者はHNTトークンで報酬を受け取る
  • 暗号資産の利益は日本では雑所得として扱われ、最大55%(所得税+住民税)の課税対象になる点を認識しておく

中級者向け(データを確認する)

  • 取引高が日次1,800万ドルを上回り続けるかをモニタリングする。1,200万ドルを下回った場合、勢いの低下と反転の可能性が高まる
  • 1.42ドルの日中高値は、0.618フィボナッチリトレースメント水準に一致。日足終値で1.45ドルを上回り、かつ取引高2,000万ドル超が維持されれば、上昇継続の確率は65〜70%に上がるとの分析がある
  • 10〜15%の調整時(1.20〜1.25ドル付近)に分割エントリーを検討する戦略が、リスク管理の観点から合理的とされている
  • HNTへの配分はポートフォリオの1〜3%以内に抑える

保存用チェックリスト

  • 取引高が1,800万ドル超を7日連続で維持しているか
  • ビッド・アスクスプレッドが0.5%以下を保っているか
  • 月次のデータ転送量とホットスポット新規稼働数を確認したか
  • 上位100アドレスの保有比率(現在42%)に変動がないか
  • HNTが国内取引所で取り扱われているか確認したか
  • 雑所得としての課税義務を理解しているか

なお、HNTを取り扱う海外取引所を利用する場合、金融庁に未登録の業者である可能性が高い。日本の投資者保護制度の対象外となり、トラブル発生時の法的救済が限定される点に十分注意が必要だ。

未来展望とリスク

テクニカル面では、30日間パフォーマンスが+2.55%にとどまっている事実が重要だ。2月第1週に-18%の下落があり、そこからの急回復が週間73%という数字を生み出している。つまり、月間で見れば「行って来い」に近い状況であり、短期的な急騰を中長期のトレンド転換と結びつけるのは早計かもしれない。

データを追ってみた感覚だと、価格の上昇率とネットワーク利用量の成長率の乖離(73%対8%)がもっとも気がかりだ。価格がさらにファンダメンタルズから乖離すれば、過大評価リスクが急速に高まる。月次でデータ転送量と新規ホットスポット稼働数を追い、価格との関係性を確認する作業が不可欠になる。

元記事が指摘するリスク要因を改めて整理する。

  • DePINセクター全体のパフォーマンスが2026年に入って不安定であること
  • データ転送量の伸び(8%)が価格上昇率(73%)と大きく乖離していること
  • 上位100アドレスが流通供給量の42%を保有する集中リスク
  • ATHから97.4%下落した水準にあり、ピーク近辺で参入した投資家は大幅な含み損を抱えていること
  • 今後16〜18か月間、新規トークン発行による売り圧力が継続すること

まとめ

Helium(HNT)は2026年2月9日以降の1週間で73%上昇し、DePINセクターで突出したパフォーマンスを記録した。取引高の厚さ、スプレッドの縮小、高値安値の切り上げパターンなど、テクニカル面で強気の材料はそろっている。

一方で、ネットワーク利用量の伸び悩み、ホットスポット成長率の鈍化、トークン保有の集中、そしてATHからの97.4%下落という現実は、冷静に受け止める必要がある。短期のモメンタムに惹かれてエントリーするよりも、調整局面を待って確認シグナルを見極めるほうが、リスク管理の面では合理的だろう。

HNTの今後を左右するのは、価格チャートではなく、ネットワーク上を実際にどれだけのデータが流れるか。あなたが注目すべき指標はどれだろうか。

難しい用語ミニ解説(3つ)

DePIN(分散型物理インフラネットワーク)
通信基地局やストレージサーバーなど、従来は企業が一括管理していた物理インフラを、トークン報酬の仕組みを使って個人の参加者が分散的に構築・運営するモデル。Heliumの無線ホットスポットはその代表例。

FDV(完全希薄化後時価総額)
将来発行される予定のトークンもすべて含めた場合の時価総額。現在の時価総額との差が「将来の売り圧力の潜在的な大きさ」を示す指標として使われる。HNTの場合、FDVプレミアムは19.7%で比較的穏当。

フィボナッチリトレースメント
価格チャートの分析手法の一つ。直近の高値と安値の間を特定の比率(23.6%、38.2%、61.8%など)で分割し、反発や反落が起きやすい水準を推定する。0.618(61.8%)水準は特に意識されやすく、HNTの場合は1.42ドル付近がこの水準に該当している。

参照リンク・情報源

執筆日時:2026-02-16T15:05:00.375Z
本記事は情報提供を目的としています。最新情報は必ず公式サイト・取引所でご確認ください。
投資判断は自己責任で行い、余剰資金の範囲内で取引してください。

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